この記事でわかること
一般貨物自動車運送事業を営んでいると、受注量の増加に合わせてトラックを増やしたり、事業規模の見直しによって車両を減らしたりすることがあります。
「車両を購入したので、そのまま緑ナンバーに変更すればよい」と考えてしまいがちですが、一般貨物自動車運送事業では、営業所に配置する事業用自動車の数も事業計画に関係する事項です。
そのため、増車・減車を行う際には、原則として事前に所定の手続きが必要です。
さらに、増車の規模や事業者の状況によっては、通常の事前届出ではなく、事業計画変更の認可が必要になる場合があります。
この記事では、一般貨物自動車運送事業者が増車・減車をするときに確認しておきたい手続きと注意点を解説します。
増車・減車に必要な手続き
一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとに配置する事業用自動車の数を変更するとき、原則として事業用自動車の数の変更に関する事前届出を行います。
つまり、
「新しいトラックを購入したから増車する」
「使用していたトラックを売却するので減車する」
という場合でも、車両そのものの登録手続きだけを考えればよいわけではありません。
一般貨物自動車運送事業の事業計画との関係を確認したうえで、必要な手続きを進める必要があります。
また、自社の別の営業所へ車両を移す場合にも注意が必要です。
原則として、車両を出す営業所では減車、車両を受け入れる営業所では増車の手続きが必要となります。
一時的な車両移動については一定の弾力的な取扱いもあるため、実際の運用にあたっては個別に確認することが重要です。
増車が「事前届出」ではなく「認可」になるケース
増車だからといって、すべて事前届出で手続きできるとは限りません。
一定の場合には、事業用自動車の数の変更について事業計画変更認可が必要になります。
たとえば関東運輸局の現在の処理方針では、増車について次のような場合が認可の対象となります。
一定規模以上の増車を行う場合
増車しようとする車両数と、申請日前3か月以内に増加した車両数の合計が、申請日の3か月前時点にその営業所へ配置していた事業用自動車数の30%以上となる場合です。
ただし、増加する車両数の合計が10両以下の場合は、この基準だけを理由として認可になるものではありません。
たとえば短期間に複数回の増車を行う場合、今回増やす台数だけを見るのではなく、直近3か月間の増車も含めて判断する必要があります。
法令遵守の状況などに問題がある場合
増車を行おうとする営業所について、
・行政処分の累積違反点数が一定以上ある
・一定期間内の巡回指導で「E」の評価を受けている
など、法令遵守の状況によっても認可が必要になる場合があります。
そのため、
「増車は届出を出せば終わり」
と一律に判断することはできません。
特に複数台をまとめて増車する場合や、短期間に増車を繰り返している場合には、車両を導入する前に手続きの区分を確認しておくことが大切です。
増車前に確認したい車庫の収容能力
増車するときに特に注意したいのが、車庫に新しい車両を収容できるかという点です。
現在使用している車庫が既存車両でほぼいっぱいの場合、車両だけを増やしても、事業計画上必要な車庫の収容能力を確保できない可能性があります。
関東運輸局の処理方針でも、増車に伴って車庫の収容能力の拡大など、別の事業計画変更が必要になる場合には、その変更手続きを終了していることが求められています。
そのため、
「先にトラックを購入して、その後に車庫を考える」
という順番では、手続きが予定どおり進まないことがあります。
増車を検討するときは、
車両数 → 車庫の収容能力 → 必要な変更手続き
までを一体として確認しておくことが重要です。
現在の車庫では収容できず、新しい車庫を設けたり既存車庫を変更したりする場合には、増車とは別に事業計画変更の手続きが必要となる可能性があります。
運転者・運行管理者・整備管理者も確認が必要
増車では、車両と車庫だけを確認すればよいわけではありません。
関東運輸局の処理方針では、増車の事前届出にあたり、事業を遂行するために必要な運転者、運行管理者及び整備管理者が確保されていることも求められています。
たとえばトラックを数台増やしても、それを適切に運行するための人員体制が整っていなければ、事業計画との整合性に問題が生じます。
特に事業規模を大きく拡大するときには、
「車両を何台購入するか」
だけではなく、
「誰が運転するのか」
「運行管理体制は足りているか」
「整備管理体制は適切か」
まで確認する必要があります。
増車は単なる車両登録の問題ではなく、運送事業全体の管理体制を確認する手続きと考えておくとよいでしょう。
減車するときの注意点
減車についても事前の手続きが必要です。
一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置することが許可基準とされています。
そのため、減車によって最低車両数を下回らないかを確認する必要があります。
たとえば、営業所に5両の事業用自動車を配置している事業者が、
「1台使用しなくなったので4台に減らしたい」
という場合、単純な減車として処理できるとは限りません。
関東運輸局の処理方針でも、減車によって公示基準上の車両数を下回らないことが、事前届出の要件として示されています。
車両の売却や廃車を先に進めてしまう前に、減車後も許可基準を満たすか確認しておくことが重要です。
車両を購入・売却する前に確認したいこと
増車・減車で起こりやすいのが、車両の購入や売却を先に決めてから手続きを確認するケースです。
しかし、増車の場合には、
・事前届出で対応できるのか
・事業計画変更認可が必要なのか
・現在の車庫に収容できるのか
・車庫の変更手続きが必要なのか
・必要な運転者等を確保できているか
などを事前に確認する必要があります。
減車の場合も、減車後の車両数が許可基準を満たすかを確認しておかなければなりません。
特に事業拡大に伴って「トラックを5台、10台とまとめて増やしたい」という場合には、通常の1台の増車と同じように考えない方が安全です。
車両の契約前に、増車後の事業計画全体を確認しておくことが、手続きをスムーズに進めるポイントです。
まとめ
一般貨物自動車運送事業で事業用自動車を増車・減車するときは、原則として事前に所定の手続きが必要です。
また、一定規模以上の増車や法令遵守状況などによっては、通常の事前届出ではなく、事業計画変更認可が必要となる場合があります。
増車の場合は車両数だけでなく、車庫の収容能力、運転者、運行管理者、整備管理者なども確認しなければなりません。
減車についても、減車後の車両数が許可基準を満たしているか確認が必要です。
「車両を買ってから手続きを考える」のではなく、増車・減車を決めた段階で必要な手続きを確認することが重要です。
一般貨物自動車運送事業の増車・減車でお困りの方へ
松井法務行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の増車・減車をはじめ、営業所・車庫等の変更や各種変更手続きをサポートしています。
代表行政書士は、旅客運送の現場でバス運転士として20年以上勤務した経験があります。
「今回の増車は事前届出でよいのかわからない」
「車両を増やしたいが、現在の車庫で問題ないか確認したい」
「複数台をまとめて増車する予定がある」
「減車すると許可要件を満たさなくならないか心配」
といった場合は、車両の購入・売却を進める前にご相談ください。
ご案内
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。 実際に必要となる許可・届出・書類等は、 事業内容や個別の状況によって異なる場合があります。 具体的な手続については、 最新の法令・行政庁の案内をご確認いただくか、 個別にご相談ください。
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