この記事でわかること
一般貨物自動車運送事業でトラックを増車するとき、
「増車の届出を出せば、そのまま営業に使えるのか」
「事業用自動車等連絡書とは何のための書類なのか」
「緑ナンバーにするまで、どの窓口で何をすればよいのか」
と迷うことがあります。
一般貨物自動車運送事業では、増車に関する運送事業側の手続きと、自動車の登録手続きは別の手続きです。
増車の事前届出など必要な運送事業上の手続きを行っただけでは、新しい車両の登録手続きまで完了したことにはなりません。
運送事業側の手続きを確認したうえで、事業用自動車等連絡書を使い、管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所で登録手続きを進めることになります。
この記事では、一般貨物自動車運送事業者がトラックを増車するときの、増車手続きから事業用自動車等連絡書、緑ナンバーの登録までの基本的な流れを解説します。
増車から緑ナンバー登録までの基本的な流れ
一般貨物自動車運送事業で新しいトラックを増やす場合、基本的には次のような流れで進めます。
STEP1 増車できる事業計画になっているか確認する
↓
STEP2 必要な場合は車庫などの事業計画変更を先に行う
↓
STEP3 事業用自動車の数の変更について必要な届出・認可を行う
↓
STEP4 事業用自動車等連絡書の確認を受ける
↓
STEP5 登録窓口で自動車の登録手続きを行う
↓
STEP6 緑ナンバーを取り付け、事業用自動車として使用する
重要なのは、
「増車の届出」と「自動車登録」は別の手続き
という点です。
輸送部門で増車の手続きを済ませても、それだけで車検証の内容やナンバープレートが事業用に変わるわけではありません。
反対に、運送事業上必要な手続きを確認せず、先に登録だけを進めようとしても、手続きが進まないことがあります。
増車はまず運送事業側の手続きを確認
一般貨物自動車運送事業では、事業用自動車の数を変更するとき、原則として実施前に手続きが必要です。
多くの場合は事業用自動車の数の変更に関する事前届出となりますが、増車の規模や事業者の状況などによっては、届出ではなく認可が必要になる場合があります。
そのため、
「1台増やすから届出用紙だけ出せばよい」
と最初から決めつけるのではなく、
・現在の配置車両数
・増車する台数
・直近の増車状況
・車庫の収容能力
・運転者の人数
・運行管理者の人数
・整備管理者の選任状況
などを確認したうえで、必要な手続きを判断します。
一般貨物自動車運送事業の増車・減車|事前届出と認可が必要になるケースを解説
事業用自動車等連絡書とは?
増車手続きのあと、車両の登録を進める際に重要になるのが事業用自動車等連絡書です。
事業用自動車等連絡書は、
その自動車を、一般貨物自動車運送事業などの事業用自動車として使用することについて、輸送部門と登録部門との間をつなぐための書類
と考えるとわかりやすいでしょう。
関東運輸局が公開している記載例では、
・事業者名
・所属営業所名
・事業者の住所
・使用の本拠の位置
・使用する自動車か、廃止する自動車か
・車台番号
・自動車登録番号等
などを記載する形式になっています。
増車の場合は、これから事業用として使用しようとする自動車について記載します。
事業用自動車等連絡書には有効期限がある
関東運輸局が公開している現在の記載例では、事業用自動車等連絡書の有効期限は、
発行の日から1か月
とされています。
そのため、
「とりあえず連絡書だけ先にもらっておこう」
として、その後長期間登録しない場合には注意が必要です。
増車の予定日、車両の納車日、登録を行う日を確認し、手続きを組み立てることが重要です。
輸送の窓口と登録の窓口は別
事業用自動車の増車では、同じ運輸支局の中で手続きをする場合でも、運送事業に関する手続きと自動車登録では担当する部門が異なります。
大まかに整理すると、
輸送部門
→ 一般貨物自動車運送事業の増車・減車などの事業手続き
登録部門
→ 車検証やナンバープレートなど、自動車そのものの登録手続き
という違いがあります。
そのため、
「増車の届出を出した窓口ですべて終わる」
とは限りません。
増車に必要な事業手続きが確認された後、事業用自動車等連絡書を使って登録手続きへ進むことになります。
事業用自動車の登録手続き
事業用自動車等連絡書の確認を受けたら、次は管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で登録手続きを行います。
関東運輸局の自動車登録業務の案内でも、自動車運送事業等の用に供する自動車について、登録手続きの必要書類として事業用自動車等連絡書が挙げられています。
ただし、必要になる登録手続きは車両の状況によって異なります。
たとえば、
・新車を新規登録する
・中古車を購入して名義変更する
・自家用車を事業用に変更する
・他の営業所から車両を移す
・車両を入れ替える
などによって、登録内容や必要書類が変わります。
したがって、
「増車だから全車両同じ登録手続き」
というわけではありません。
車検証を準備してから確認する
自動車登録の手続きでは、現在の車検証の内容が重要です。
電子車検証の場合には、自動車検査証記録事項を確認しておくと手続きを整理しやすくなります。
少なくとも、
・所有者
・使用者
・使用の本拠の位置
・車台番号
・現在の登録番号
などを確認したうえで、必要となる登録手続きを判断します。
緑ナンバーになるまで営業用に使わない
一般貨物自動車運送事業で使用するトラックは、運送事業上の手続きと登録を適切に終え、事業用自動車として使用できる状態にしてから営業に使用します。
「増車届を提出したから、すぐ荷物を運んでもよい」
ということではありません。
届出・認可、事業用自動車等連絡書、登録など、必要な手続きを終えてから使用を開始することが重要です。
車庫の収容能力が足りない場合は増車より先に確認
増車の相談で特に注意したいのが、車庫の広さです。
現在の車庫に5台分しか収容できない状態で、6台目を増車しようとしても、その車両を適切に収容できなければなりません。
増車によって現在の認可内容の車庫では収容能力が足りなくなる場合には、増車手続きより先に、車庫の収容能力変更など必要な事業計画変更手続きを行うことになります。
そのため、車両購入を決める前に、
「今の車庫に本当にもう1台入るのか」
を確認することが重要です。
車庫を新しく借りればすぐ使えるわけではない
新しい土地を借りれば、自動的に事業用車庫として使用できるわけでもありません。
一般貨物自動車運送事業の車庫については、
・営業所との位置関係
・前面道路
・収容能力
・使用権原
・関係法令への適合
などを確認する必要があります。
増車予定日が決まってから車庫を探し始めると、車両登録のスケジュールにも影響する可能性があります。
一般貨物自動車運送事業の車庫の新設・移転・変更
営業所の新設・移転と増車を同時にする場合
営業所を新設したり移転したりするタイミングで、同時に車両を増やすケースもあります。
この場合、
「営業所変更」
「車庫変更」
「増車」
を別々に考えるのではなく、事業計画全体を整理する必要があります。
たとえば、
新しい営業所は許可基準を満たしているか
↓
新しい車庫に必要な台数を収容できるか
↓
運転者を確保できているか
↓
運行管理者・整備管理者の体制は足りるか
↓
車両の増車手続きは何が必要か
↓
登録をいつ行うか
という順番で確認すると、手続きの抜けを防ぎやすくなります。
→ 「営業所の新設・移転」ページへ内部リンク
→ 「休憩・睡眠施設の変更」ページへ内部リンク
車両を入れ替える「代替」でも確認が必要
古いトラックを1台減らし、新しいトラックを1台入れるような車両入替もあります。
この場合、全体の車両数だけを見れば、
「5台から5台なので台数は変わらない」
ということになります。
しかし、実際には使用する車両そのものが変わるため、事業用自動車等連絡書や自動車登録について確認が必要です。
増車・減車と単純な代替では手続きが異なることがあるため、
「台数が変わらないから何もしなくてよい」
と判断しないことが大切です。
自社の別営業所へ車両を移す場合
同じ会社の中で、
A営業所からB営業所へトラックを移す
というケースもあります。
この場合も、単に社内の車両管理表だけを書き換えればよいわけではありません。
原則として、
A営業所側では減車
B営業所側では増車
という観点から必要な手続きを確認します。
現在は一定の営業所間の車両移動について弾力的な取扱いが設けられている場合もありますが、すべての営業所間移動が自由になったという意味ではありません。
営業所、車庫、車両の使用状況を確認したうえで、個別に判断する必要があります。
増車したら運行管理者の人数も確認
車両登録まで進めることに意識が向くと、管理者の体制確認を忘れることがあります。
一般貨物自動車運送事業では、営業所の配置車両数によって必要な運行管理者数が変わります。
たとえば、
29台 → 30台
へ増車する場合には、必要な運行管理者数が変わります。
増車する際は、
・車庫に入るか
・運転者がいるか
・運行管理者が足りるか
・整備管理者の体制に問題がないか
まで確認してから進めることが重要です。
増車時によくある間違い
「増車届を出したので、もう乗れる」
増車に関する輸送部門の手続きと、自動車の登録は別です。
必要な登録まで完了してから事業用として使用します。
「車を買ってから車庫を確認すればよい」
増車後の車両を現在の車庫へ収容できない場合、車庫の事業計画変更が先に必要になることがあります。
車両購入・リース契約前の確認がおすすめです。
「車両数が変わらない代替なら何もしなくてよい」
車両そのものが入れ替わるため、事業用自動車等連絡書や登録手続きについて確認が必要です。
「同じ会社の別営業所へ移すだけだから届出不要」
営業所ごとに配置車両が管理されています。
出す側・受ける側それぞれについて必要な手続きを確認します。
「事業用自動車等連絡書を取ればいつでも登録できる」
関東運輸局の現在の記載例では、事業用自動車等連絡書の有効期限は発行日から1か月です。
納車日・登録日とのスケジュールを合わせて進めましょう。
増車前に確認しておきたい5項目
トラックの購入やリース契約をする前に、少なくとも次の5点を確認しておくと安心です。
1.何台から何台へ増えるのか
2.現在の車庫に増車後の全車両が収容できるか
3.増車が事前届出なのか、認可が必要なケースなのか
4.運転者・運行管理者・整備管理者の体制は足りているか
5.納車日と登録予定日はいつか
特に、
「来週納車なので、今週中に緑ナンバーにしたい」
という段階で相談すると、車庫変更や認可が必要だった場合に希望日までに間に合わない可能性があります。
車両の契約前、遅くとも納車日が決まった段階で必要な手続きを確認することをおすすめします。
まとめ
一般貨物自動車運送事業でトラックを増車するときは、増車の届出だけで手続きが完了するわけではありません。
基本的には、
増車できる事業計画か確認
↓
必要に応じて車庫等の事業計画変更
↓
増車に関する届出・認可
↓
↓
自動車登録
↓
緑ナンバーで事業用として使用開始
という流れを確認します。
特に注意したいのは、
・車庫の収容能力
・運行管理者・整備管理者の体制
・届出か認可か
・事業用自動車等連絡書の有効期限
・登録手続きの種類
です。
車両の購入やリースを決めてから手続きを調べるのではなく、増車を決めた段階で必要な手続きと順番を確認することが重要です。
増車から緑ナンバー登録までまとめて確認したい方へ
松井法務行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の増車・減車手続きをはじめ、車庫変更、営業所変更、各種変更届、自動車登録を取り扱っています。
代表行政書士は、旅客運送の現場でバス運転士として20年以上勤務した経験があります。
「増車は届出でよいのか、認可が必要なのかわからない」
「新しいトラックを契約したが、何から手続きすればよいかわからない」
「事業用自動車等連絡書から緑ナンバー登録までお願いしたい」
「増車したいが、今の車庫に入るか不安」
「営業所間で車両を移したい」
といった場合は、実施予定日が決まった段階でご相談ください。
現在の配置車両数、増減する台数、営業所・車庫の所在地、実施予定日がわかると、必要な手続きを整理しやすくなります。
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