この記事でわかること
建設業許可を取得した後、
「営業所技術者等が退職することになった」
「別の有資格者に交代したい」
「営業所技術者等を別の営業所へ変更したい」
ということがあります。
営業所技術者等は、建設業許可の重要な要件の一つです。
そのため、担当者が退職したからといって、単に社内の人事異動だけで済むとは限りません。変更後も許可要件を満たしているかを確認したうえで、必要な変更届を行うことが重要です。
特に注意したいのは、現在の営業所技術者等が退職してから後任者を探すのではなく、交代前に後任者が必要な資格・実務経験等の要件を満たしているか確認しておくことです。
この記事では、埼玉県知事の建設業許可を中心に、営業所技術者等が退職・交代するときに確認したいポイントを解説します。
営業所技術者等とは
建設業許可では、営業所ごとに、その営業所で営業する建設業について要件を満たす営業所技術者等を置く必要があります。
以前は「営業所専任技術者」「専任技術者」などと呼ばれていたため、現在でも「専任技術者」という言葉で検索されることがあります。
現在は建設業法の改正により、**「営業所技術者等」**という名称が使われています。
営業所技術者等は、許可を受けようとする建設業について一定の資格や実務経験等の要件を満たしている必要があります。
また、2024年12月13日からは一定の要件のもとで営業所技術者等が工事現場を兼務できる制度も設けられていますが、無条件にどの現場でも兼務できるわけではありません。国土交通省
したがって、
「資格を持っている社員だから誰でも営業所技術者等にできる」
というものではなく、許可業種・資格・経験・勤務状況などを個別に確認する必要があります。
営業所技術者等の変更が必要になる主なケース
営業所技術者等に関係する変更として、代表的なのが次のようなケースです。
現在の営業所技術者等が退職する
最も注意したいケースです。
現在の営業所技術者等が退職する場合、その人が担当していた許可業種について、後任者が引き続き要件を満たせるか確認します。
「退職した後で届出だけすればよい」と考えるのではなく、退職日が決まった段階で後任者の要件を確認しておくことが重要です。
別の人に交代する
現在の営業所技術者等が在籍したままでも、人員配置の見直しなどによって別の人へ交代することがあります。
この場合も、新しく営業所技術者等になる人について、その営業所で営業する許可業種の要件を満たしているか確認します。
担当する営業所が変わる
営業所技術者等本人は変わらなくても、配置される営業所が変更になる場合があります。
埼玉県の様式でも、既に証明されている技術者について置かれる営業所のみが変更になった場合の届出区分が設けられています。埼玉県公式ウェブサイト
営業所の新設・廃止等を伴う場合には、営業所そのものについて必要となる変更手続きも併せて確認します。
後任の営業所技術者等について確認したい要件
営業所技術者等を交代する場合、重要なのは「後任者がいるか」だけではありません。
後任者が、その許可業種について必要な要件を満たしているかを確認する必要があります。
資格で要件を満たす場合
建設業の種類によって、要件を満たす国家資格等が定められています。
たとえば施工管理技士等の資格が関係しますが、必要な資格は許可業種によって異なります。
そのため、
「施工管理技士だからすべての業種を担当できる」
とは限りません。
どの資格で、どの建設業の営業所技術者等になれるのかを確認します。
実務経験等で要件を確認する場合
資格だけではなく、学歴や実務経験等によって要件を確認するケースもあります。
この場合は単に、
「建設会社で10年間働いていた」
という事実だけで判断するのではなく、どの業種について、どのような実務経験があるのかを確認する必要があります。
実務経験によって証明する場合は、その経験を裏付ける資料についても確認が必要です。
特定建設業の場合は要件が異なる
一般建設業と特定建設業では、営業所技術者等に求められる技術者要件が同じとは限りません。
現在受けている許可が一般なのか特定なのかも含めて、後任者の要件を確認します。
変更届では何を確認する?
営業所技術者等に変更が生じた場合には、変更内容に応じた届出書類を作成します。
埼玉県の現行手引きでは、許可後に役員等・所在地・常勤役員等・営業所技術者等に変更があれば、変更届出書等を提出するよう案内されています。届出期間は変更事由によって異なります。埼玉県公式ウェブサイト
営業所技術者等の交代では、
- 誰が営業所技術者等でなくなるのか
- 誰が新しく営業所技術者等になるのか
- どの営業所なのか
- どの許可業種を担当するのか
- 新任者がどの資格・経験等で要件を満たすのか
を整理してから書類を準備すると分かりやすくなります。
なお、埼玉県では建設業許可の変更届について電子申請も利用できます。埼玉県公式ウェブサイト
後任者がいない場合は特に注意
営業所技術者等が退職する際に最も注意したいのが、
「後任者がまだ決まっていない」
というケースです。
営業所技術者等は建設業許可の要件に関係するため、単純に「しばらく空席にして、後から採用すればよい」と考えるのは適切ではありません。
埼玉県の様式上も、現在の技術者が営業所技術者等でなくなる場合について、新たに営業所技術者等となる者を同時に届け出る場合と、許可業種の一部廃業や営業所廃止、法定の技術者要件を満たさなくなった場合とを区別しています。埼玉県公式ウェブサイト
したがって、退職が決まった段階で、
後任候補者がいるか
↓
その人が必要な要件を満たしているか
↓
要件を証明できる資料があるか
まで確認しておくことが重要です。
後任者が確保できない場合は、現在の許可をそのまま維持できると決めつけず、許可業種や営業所の状況を含めて個別に確認する必要があります。
業種追加をするときにも営業所技術者等を確認
営業所技術者等の確認が必要になるのは、退職や交代だけではありません。
建設業許可の業種追加をする場合にも重要です。
たとえば現在、
「とび・土工工事業」
の許可を受けている会社が、新たに別の建設業の許可を追加したい場合、その業種について営業所技術者等の要件を満たせるか確認します。
そのため、
「この工事も受注したいから業種追加しよう」
と考えたときには、まず現在の人員で技術者要件を満たせるかを確認すると手続きを進めやすくなります。
退職が決まってからではなく事前確認が重要
営業所技術者等の変更で特に避けたいのが、
退職日が来てから後任者の要件を調べ始めること
です。
たとえば後任候補者について、
「持っている資格では担当予定の業種をカバーできなかった」
「実務経験で証明できると思っていたが、必要な資料を準備できない」
といったことが後から分かる可能性があります。
営業所技術者等の退職・異動が予定されている場合は、できるだけ早い段階で、
現在の許可業種
後任候補者
資格・実務経験等
担当する営業所
証明に使用する資料
を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
建設業許可を取得した後に営業所技術者等が退職・交代する場合は、単なる人事変更として処理するのではなく、変更後も建設業許可の要件を満たしているかを確認する必要があります。
特に重要なのは、
後任者が担当する許可業種の要件を満たしているか
資格・実務経験等を確認できるか
どの営業所に配置するのか
営業所自体の変更も伴わないか
という点です。
営業所技術者等は建設業許可の維持に関わるため、退職後に確認するのではなく、退職・異動が決まった段階で後任者の要件を確認することが大切です。
営業所技術者等の退職・交代でお困りの方へ
松井法務行政書士事務所では、建設業許可の新規・更新・業種追加・決算変更届・営業所技術者等の変更届などについてご相談いただけます。
たとえば、
「営業所技術者等が来月退職するが、何をすればよいかわからない」
「後任予定者の資格で現在の許可業種を維持できるか確認したい」
「実務経験で要件を満たせるのか確認したい」
「営業所技術者等の変更と業種追加を一緒に検討している」
といった場合は、退職・異動後ではなく、できるだけ事前にご相談ください。
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