この記事でわかること
トラック運送会社では、
「帰り便が空車になることが多い」
「他社と共同輸配送を検討している」
「荷主や他の運送会社とデータを共有して、配車や輸送を効率化したい」
といった課題を抱えることがあります。
国土交通省は2026年9月25日、「中小物流事業者の労働生産性向上事業費補助金(共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業)」の4次公募を開始しました。
この制度は、単に物流システムを導入するための補助制度ではありません。
「物流情報標準ガイドライン」を活用し、複数の荷主・物流事業者や物流ソリューション提供者等が連携して、共同輸配送、帰り荷の確保、保管・輸送経路の最適化などにつなげる取組を支援するものです。国土交通省
一般貨物自動車運送事業者にとってもう一つ重要なのは、共同輸配送等を実際に始めることで、車両、営業所、車庫など現在の事業計画に変更が生じないかという点です。
この記事では、4次公募の概要とともに、一般貨物自動車運送事業者が共同輸配送や帰り荷確保に取り組む際に確認したい運送業の手続きを解説します。
物流データ連携促進支援事業とは
今回の制度の正式名称は、
「中小物流事業者の労働生産性向上事業費補助金(共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業)」
です。
国土交通省によると、「物流情報標準ガイドライン」を活用して、複数の荷主・物流事業者間、物流ソリューション提供者等が連携し、「物流・商流情報のオープンプラットフォーム」の構築や運営を行う事業に要する経費の一部を補助する制度です。国土交通省
目的となる物流効率化として、国土交通省は、
共同輸配送
帰り荷の確保
保管・輸送経路の最適化
などを挙げています。国土交通省
つまり、一社の運送会社だけでシステムを導入すること自体を目的とした制度ではなく、複数の関係事業者がデータを連携させ、物流全体を効率化することがポイントです。
4次公募は2026年10月23日17時まで
4次公募の期間は、
2026年9月25日(金)14時
~10月23日(金)17時まで(必着)
です。
補助対象事業者への交付決定は11月中旬頃が予定されています。
また、事業期間は、
交付決定日~2027年2月19日(金)
とされています。国土交通省
実際に申請を検討する場合は、国土交通省の発表だけで判断せず、特設サイトに掲載される公募要領・申請様式等を確認してください。
どのような取組が対象になる?
今回の制度で重要なのが、「物流情報標準ガイドライン」を活用したデータ連携です。
物流会社や荷主がそれぞれ別々に情報を管理していると、共同輸配送を検討しようとしても、必要な情報を円滑にやり取りできない場合があります。
そこで、複数の荷主・物流事業者等が連携して物流・商流情報を共有できる仕組みを構築し、物流の効率化につなげることが今回の制度の中心となっています。国土交通省
共同輸配送
複数の荷主や物流事業者等が連携し、それまで個別に行っていた輸配送を共同化することで、輸送の効率化を図ります。
帰り荷の確保
トラックが荷物を届けた後、帰路が空車になれば、車両を走らせていても貨物を運んでいない時間が生じます。
物流データを連携して帰り便に積載できる貨物を確保できれば、車両の稼働をより効率化できる可能性があります。
保管・輸送経路の最適化
物流データを共有することで、貨物の保管場所や輸送経路などを見直し、物流全体を効率化する取組も制度の対象として想定されています。国土交通省
共同輸配送・帰り荷確保で注意したいこと
共同輸配送や帰り荷確保は、トラックの空車時間を減らしたり輸送効率を高めたりするための取組ですが、実際に運用を始めると、現在の運送体制が変わることがあります。
ここは一般貨物自動車運送事業者として確認しておきたいポイントです。
たとえば、
「共同輸配送を始めるため車両を追加する」
「新しい輸送拠点を使用する」
「現在とは別の車庫を使用する」
「新しい営業所を設置する」
といった計画になれば、物流データ連携の補助制度とは別に、一般貨物自動車運送事業上の手続きが関係する可能性があります。
補助事業の計画と、運送事業の事業計画を別々に考えないことが大切です。
運送体制を変えるときに確認したい手続き
共同輸配送などの取組によって実際の輸送体制が変わる場合は、「何が変わるのか」を一つずつ確認します。
車両を増やす場合
新たな輸送に対応するため、現在の営業所に事業用自動車を追加するのであれば、増車に関する手続きを確認します。
一般貨物自動車運送事業の増車は原則として事前届出ですが、一定の場合には認可が必要となります。
そのため、車両の購入や登録だけを先に進めるのではなく、運送事業側の手続きを確認しておきましょう。
車庫を追加・変更する場合
新しい輸送ルートや車両の増加に伴い、現在の車庫では収容できなくなることがあります。
その場合、新しい車庫を使用できるか、事業計画の変更手続きが必要かを確認します。
特に、「駐車できる土地があるから、そのまま事業用車両を置けばよい」わけではありません。
一般貨物の車庫には、位置、収容能力、使用権原など確認すべき要件があります。
営業所を新設・移転する場合
共同輸配送を進めるために新しい拠点を設ける場合、その場所が一般貨物自動車運送事業上の「営業所」に当たるのかも確認します。
営業所の新設・移転は、単なる会社の住所変更とは異なり、事業計画変更の手続きが関係します。
休憩・睡眠施設が変わる場合
営業所や運行体制の変更に伴って、運転者が利用する休憩・睡眠施設を新設・移転するケースもあります。
この場合も、一般貨物自動車運送事業上の変更手続きを確認します。
「補助対象」と「運送業の手続き」は別に確認する
ここは今回の記事で特にお伝えしたい点です。
物流データ連携促進支援事業の対象になることと、一般貨物自動車運送事業上、その計画をそのまま実施できることは別です。
たとえば、補助事業の計画上、
共同輸配送のためにトラックを増やす
という内容になったとしても、一般貨物側の増車手続きが不要になるわけではありません。
同じように、
新しい物流拠点を利用する
という計画だからといって、その場所を当然に一般貨物の営業所や車庫として使用できるわけでもありません。
「補助金の対象になるか」と「一般貨物としてどの手続きが必要か」を分けて確認することが重要です。
実施前に整理しておきたいこと
共同輸配送や帰り荷確保の計画を具体化するときは、データ連携の方法だけでなく、実際の輸送がどう変わるのかまで整理しておきましょう。
特に一般貨物自動車運送事業者であれば、
どの営業所が運送を担当するのか
車両数は増えるのか
現在の車庫で対応できるのか
新しい営業所・車庫を使用するのか
休憩・睡眠施設に変更が生じるのか
などを確認します。
ここを早い段階で整理しておけば、補助事業の計画が進んでから、
「この車庫では使えなかった」
「先に変更手続きが必要だった」
という事態を防ぎやすくなります。
まとめ
「共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業」の4次公募は、2026年9月25日14時から10月23日17時までです。国土交通省
この制度は、「物流情報標準ガイドライン」を活用して複数の荷主・物流事業者等が連携し、
共同輸配送
帰り荷の確保
保管・輸送経路の最適化
などを進める取組を支援するものです。国土交通省
一般貨物自動車運送事業者の場合は、実際の輸送体制を変更するときに、
増車
営業所の新設・移転
車庫の新設・移転
休憩・睡眠施設の変更
などが関係しないかも確認しましょう。
補助制度と一般貨物自動車運送事業の手続きは、分けて確認することが大切です。
運送体制を変更する前にご相談ください
松井法務行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の増車・減車、営業所・車庫・休憩睡眠施設の変更、各種変更届などについてご相談いただけます。
「共同輸配送を始めるためトラックを増やしたい」
「新しい物流拠点を営業所や車庫として使えるのか確認したい」
「現在の事業計画のままで新しい輸送を始められるかわからない」
「営業所・車庫・休憩睡眠施設を同時に変更したい」
といった場合は、契約や移転を進める前にご相談ください。
代表行政書士の松井隆は、旅客運送の現場でバス運転士として20年以上勤務した経験があります。
なお、この記事で紹介した補助金申請そのものではなく、計画の実施に伴う一般貨物自動車運送事業の許可・認可・届出等の手続きについて、LINEまたはお問い合わせフォームからご相談いただけます。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。 実際に必要となる許可・届出・書類等は、 事業内容や個別の状況によって異なる場合があります。 具体的な手続については、 最新の法令・行政庁の案内をご確認いただくか、 個別にご相談ください。
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