この記事でわかること
一般貨物自動車運送事業を始めるときには、営業所や車庫、運行管理者だけでなく、整備管理者を確保できるかも確認する必要があります。
また、整備管理者は新規許可のときだけ確認すればよいものではありません。
すでに運送業を営んでいる事業者でも、
「新しい営業所を設ける」
「車両を増車する」
「整備管理者が退職する」
「整備管理者を変更する」
といった場面では、選任状況や届出を改めて確認する必要があります。
特に注意したいのは、整備管理者になるためには一定の資格要件があり、単に社内の担当者を決めればよいわけではないという点です。
この記事では、一般貨物自動車運送事業における整備管理者の選任基準、資格要件、選任前研修、届出期限、増車時の注意点について解説します。
整備管理者とは何をする人なのか
整備管理者は、事業で使用する自動車について、適切な点検・整備が行われるよう管理する重要な役割を担います。
道路運送車両法では、一定の自動車を使用する事業者に対し、使用の本拠ごとに整備管理者を選任する制度が設けられています。
整備管理者は、単に故障した車両を修理する担当者という意味ではありません。
たとえば、
・日常点検の実施方法を定める
・点検結果を踏まえて運行できるか判断する
・定期点検や必要な整備の実施計画を管理する
・点検や整備に関する記録を管理する
・車庫を適切に管理する
など、車両の安全な運行を支える管理業務を担います。
運送会社にとって、車両は事業そのものを支える重要な設備です。
整備管理者は、その車両を安全な状態で使用できるよう管理する役割を担っています。
一般貨物では整備管理者がいつ必要になる?
一般貨物自動車運送事業で使用するトラックについては、原則として使用の本拠ごとに事業用自動車が5両以上となる場合、整備管理者を選任する必要があります。
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を配置する必要があります。
そのため、一般的な一般貨物自動車運送事業の営業所では、新規許可を取得する段階から整備管理者を確保することになります。
ここで重要なのが、判断の単位です。
整備管理者については、会社全体の保有台数だけを見るのではなく、自動車の使用の本拠ごとに確認します。
たとえば、
A営業所:5両
B営業所:5両
という体制で事業を行う場合、それぞれの使用の本拠について整備管理者の選任が必要になることを前提に、管理体制を検討する必要があります。
※要件を満たせば兼任できることもあります。
整備管理者になるためには資格要件がある
誰でも整備管理者として選任できるわけではありません。
主な資格要件には、大きく分けて次の2つの方法があります。
1.自動車整備士資格による方法
1級、2級または3級の自動車整備士技能検定に合格している場合、整備管理者の資格要件を満たす方法があります。
この場合、整備管理者になるために改めて「2年以上の実務経験+選任前研修」という方法を取る必要はありません。
2.実務経験と選任前研修による方法
自動車整備士資格を持っていない場合でも、
整備管理を行おうとする自動車と同種類の自動車について、点検・整備または整備管理に関する2年以上の実務経験があり、地方運輸局長が行う整備管理者選任前研修を修了していること
により、資格要件を満たす方法があります。
ここで注意したいのは、
「選任前研修を受講すれば、それだけで整備管理者になれる」というわけではない
ということです。
研修による方法では、原則として2年以上の実務経験についても確認する必要があります。
「選任前研修」と「2年以上の実務経験」はセットで確認
整備管理者について調べていると、「研修を受ければ整備管理者になれる」という説明を目にすることがあります。
しかし、正確には注意が必要です。
自動車整備士資格によらず、実務経験をもとに整備管理者になる場合は、
2年以上の実務経験と整備管理者選任前研修の修了の両方を確認します。
たとえば、会社の社員が選任前研修を受講していても、必要な実務経験を満たしていなければ、そのことだけをもって整備管理者として選任できるとは限りません。
反対に、長期間トラックの点検や整備管理に携わっていたとしても、実務経験による資格要件で選任する場合には選任前研修についても確認が必要です。
新規許可を検討している場合には、「誰を整備管理者にするか」を早めに決め、
・自動車整備士資格があるのか
・実務経験による方法なのか
・必要な実務経験を証明できるのか
・選任前研修を修了しているのか
まで確認しておくことが重要です。
許可申請の準備が進んでから整備管理者を探し始めると、事業開始までのスケジュールに影響する可能性があります。
整備管理者を選任したら15日以内に届出
整備管理者を選任した場合には、社内で任命して終わりではありません。
道路運送車両法に基づき、整備管理者を選任した日から15日以内に、管轄する運輸支局へ届出を行う必要があります。
整備管理者を変更した場合についても、所定の届出が必要です。
関東運輸局では「運行・整備管理者選任等届出書」が公開されており、整備管理者の選任時には、その人が資格要件を満たしていることなどを確認できる書類を添付します。
そのため、「整備管理者にする人は決まっているから大丈夫」ではなく、
資格要件の確認 → 選任 → 届出
まで行って初めて一連の手続きとなります。
選任後にも研修がある
整備管理者には「選任前研修」のほかに、選任後研修があります。
名称が似ていますが、それぞれ目的が異なります。
選任前研修は、実務経験によって整備管理者の資格要件を満たす際に関係する研修です。
一方、選任後研修は、自動車運送事業者が選任している整備管理者に対して行われる研修です。
運送事業者には、選任した整備管理者に対して、一定の時期ごとに選任後研修を受講させる必要があります。
「整備管理者として一度選任すれば、その後は何もしなくてよい」というものではありません。
選任後の研修受講状況についても、適切に管理しておくことが重要です。
増車・営業所新設時は整備管理体制も確認
整備管理者について確認が必要になるのは、新規許可のときだけではありません。
既存の一般貨物自動車運送事業者でも、
・新しい営業所を設ける
・営業所を移転する
・増車する
・車両を別の営業所へ移す
・整備管理者が退職する
といった場合には、整備管理体制を確認する必要があります。
特に増車では、車庫の収容能力や運行管理者だけに目が向きやすいため注意が必要です。
事業規模を拡大するときには、
車両 → 車庫 → 運転者 → 運行管理者 → 整備管理者
というように、事業全体の体制を確認しておくことが重要です。
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運行管理者と整備管理者は役割が違う
運送業の新規許可を検討している方から見ると、
「運行管理者と整備管理者は何が違うのか」
わかりにくいことがあります。
簡単に整理すると、
運行管理者
→ 運転者や運行の安全を管理する
整備管理者
→ 車両の点検・整備を管理する
という違いがあります。
どちらも安全な運送事業を行うための重要な管理者ですが、役割や資格要件は異なります。
そのため、「運行管理者がいるので整備管理者は必要ない」ということにはなりません。
一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討するときには、それぞれの要件を個別に確認する必要があります。
一般貨物自動車運送事業の運行管理者は何人必要?選任基準と増車時の注意点
整備管理者が退職するときも注意
すでに選任している整備管理者が退職する場合にも注意が必要です。
整備管理者の選任が必要な営業所で、その人が退職するのであれば、後任者について資格要件を確認し、適切な整備管理体制を維持しなければなりません。
後任者を探す際に、「選任前研修を受けてもらえばすぐに整備管理者にできる」と考えてしまうと、実務経験の要件を満たしていない可能性があります。
退職日が決まってから慌てて探すのではなく、
・後任候補者は誰か
・整備士資格があるか
・実務経験による選任が可能か
・選任前研修を修了しているか
・必要な届出は何か
を早めに確認しておくことが重要です。
まとめ
一般貨物自動車運送事業では、原則として事業用トラックを5両以上使用する使用の本拠ごとに、整備管理者を選任する必要があります。
整備管理者になるためには一定の資格要件があり、代表的には、
1級・2級・3級の自動車整備士資格による方法
または、
による方法があります。
また、整備管理者を選任した場合には、選任の日から15日以内に所定の届出を行います。
新規許可だけでなく、営業所の新設、増車、整備管理者の退職などでも確認が必要です。
一般貨物自動車運送事業では、営業所・車庫・車両だけでなく、運行管理者や整備管理者を含めた管理体制まで確認したうえで手続きを進めることが重要です。
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代表行政書士は、旅客運送の現場でバス運転士として20年以上勤務した経験があります。
「整備管理者にしようとしている社員が資格要件を満たしているかわからない」
「新しい営業所を設けるので、必要な管理体制を確認したい」
「増車とあわせて、運行管理者や整備管理者も確認したい」
「整備管理者が退職するが、どのような手続きが必要かわからない」
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