この記事でわかること
2026年4月から、改正物流効率化法に基づき、一定規模以上の貨物自動車運送事業者等に対する新たな規制的措置が始まっています。
保有車両台数が一定規模以上となる事業者は、「特定貨物自動車運送事業者等」として指定され、中長期計画の作成・提出などが必要になります。
特に注意したいのが2026年度の提出期限です。
2026年度の中長期計画は10月末までとなっています。国土交通省は2026年9月16日に特定貨物自動車運送事業者等を対象とした説明会を開催しており、提出期限が近づいています。
「150台はどの車両を数えるのか」
「中長期計画には何を書けばよいのか」
「毎年提出する必要があるのか」
「どのように提出するのか」
と確認している運送事業者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国土交通省の手引き・物流効率化法理解促進ポータルなどの一次情報をもとに、特定貨物自動車運送事業者等の中長期計画について解説します。
特定貨物自動車運送事業者等とは?
物流効率化法では、貨物自動車運送事業者等に物流効率化のための取組を求めています。
さらに、一定規模以上の貨物自動車運送事業者等については「特定貨物自動車運送事業者等」として指定し、中長期計画の作成・提出などを義務付けています。
国土交通省の物流効率化法理解促進ポータルでは、その指定基準値を、
保有車両台数150台以上
としています。
したがって、すべての一般貨物自動車運送事業者に今回説明する中長期計画の提出義務が生じるわけではありません。
まずは、自社が特定貨物自動車運送事業者等として指定される規模に該当するのかを確認する必要があります。
150台未満なら物流効率化法と無関係?
150台未満であれば「特定貨物自動車運送事業者等」としての中長期計画提出義務の対象にはなりませんが、物流効率化法が一定規模以上の会社だけに関係するという意味ではありません。
国土交通省は、貨物自動車運送事業者等について、物流効率化に関する努力義務や判断基準などを定めています。
そのため、
「150台未満だから物流効率化法について何も対応する必要がない」
と理解しないよう注意しましょう。
150台以上はどのように数える?
特にトレーラーを使用している運送会社では、「150台」の数え方に注意が必要です。
国土交通省の手引きでは、輸送能力の算定について被けん引車を含めて確認する取扱いが示されています。今回の調査資料でも、トラクターヘッドとシャーシを合算する点が重要事項として整理されています。
したがって、
「トラクターヘッドだけなら150台未満だから対象ではない」
と単純に判断するのは適切ではありません。
特に保有車両が150台前後となる事業者では、自社がどのような算定によって指定対象となっているのか確認しておくことが重要です。
2026年度の中長期計画は10月末まで
2026年度の中長期計画について、最も注意したいのが提出期限です。
2026年度の初回提出期限は10月末です。
2027年度以降は7月末が基本となるため、通常年度の期限と2026年度の初回期限を混同しないようにしてください。
「指定されたらそのうち提出」ではない
特定貨物自動車運送事業者等として指定された場合、
「指定通知が来たので、とりあえず保管しておく」
という対応では不十分です。
2026年度については10月末という具体的な期限があります。
9月16日には国土交通省等による特定貨物自動車運送事業者向け説明会も開催されており、今回の調査時点では説明会資料が公開されています。
対象事業者は、期限直前ではなく早めに計画内容を整理しておきましょう。
提出しなかった場合は?
中長期計画は任意で提出する資料ではありません。
物流効率化法理解促進ポータルでは、中長期計画を提出しなかった場合について、50万円以下の罰金が科される旨が明記されています。
罰則だけを強調する必要はありませんが、対象となった事業者にとって法令上必要な手続きであることは理解しておく必要があります。
中長期計画には何を書く?
中長期計画では、物流効率化のために「何をするのか」だけではなく、具体的な内容や目標、実施時期などを整理します。
国土交通省のポータルでは、次の3つに関する取組が示されています。
・運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加
・運転者の荷待ち時間の短縮
・運転者の荷役等時間の短縮
そして、それぞれについて、
実施する措置
具体的な措置の内容・目標等
実施時期等
参考事項
を記載する仕組みです。
会社ごとの実態に合わせて考える
たとえば、輸送効率を改善する方法としては、共同輸配送、復荷の確保、配車の最適化などさまざまな方法が考えられます。
重要なのは、単に公式の記載例をそのまま写すことではありません。
現在の輸送状況や荷主との取引、車両の運用状況などを確認したうえで、自社として実施する措置を具体化することが重要です。
すでに一定の効率化を実現している場合についても、国土交通省の手引きや記載例を確認しながら、現在の状態をどのように維持・改善するのか整理します。
中長期計画は毎年提出する?
中長期計画について、
「これから毎年同じ計画書を提出しなければならないのか」
という疑問もあるでしょう。
国土交通省のポータルでは、毎年度提出することを基本としつつ、中長期的な措置を記載する制度であることから、計画内容に変更がない限り5年に一度の提出とされています。
したがって、
「必ず毎年提出」
とも、
「一度出せば永久に提出不要」
ともいえません。
計画内容の変更状況も含めて管理する必要があります。
中長期計画はどうやって提出する?
国土交通省は、特定事業者に関する届出や計画の提出について、原則オンラインで行うと案内しています。
今回の調査資料では、e-Govから手続きを探す場合、
大分類「国土交通」
中分類「物流」
小分類「物流効率化法」
と整理されています。
また、電子申請に利用するGビズIDについては原則としてGビズIDプライム、提出先は主たる事務所を管轄する地方運輸局貨物課とされています。代理人が提出する場合には委任状が必要です。
埼玉県・東京都・千葉県に主たる事務所がある事業者の場合は、関東運輸局が関係します。
期限直前になって、
「GビズIDが準備できていない」
「どの手続きを選べばよいかわからない」
ということがないよう、計画書の作成と並行して電子申請環境も確認しておきましょう。
中長期計画と定期報告は別の手続き
もう一つ混同しやすいのが中長期計画と定期報告です。
2026年度の中長期計画は10月末が初回提出期限ですが、今回の調査資料では、定期報告については指定を受けた年度の翌年度から毎年度7月末と整理されています。
したがって、2026年度に指定された事業者の場合、定期報告は2027年7月末以降となります。
社内で法令関係の年間スケジュールを作成する場合には、
2026年10月末:中長期計画
と、
2027年7月末:定期報告
を別の手続きとして管理すると分かりやすいでしょう。
150台以上になった原因が「増車」の場合も確認を
特定貨物自動車運送事業者等の制度とは別に、一般貨物自動車運送事業者が車両を増やす場合には、増車に関する手続きも確認する必要があります。
物流効率化法上の「150台」の確認と、貨物自動車運送事業法上の増車手続きは別の制度です。
関東運輸局は一般貨物自動車運送事業について、増減車を含む事業計画変更の様式・処理方針を公開しています。
車両数が増えて150台前後となった事業者は、
増車手続きが適切に行われているか
と、
物流効率化法上の特定事業者に該当するか
を分けて確認しましょう。
一般貨物自動車運送事業の増車・減車手続
まとめ
2026年4月から、一定規模以上の貨物自動車運送事業者等には、物流効率化法に基づく中長期計画などの義務が課されています。
特定貨物自動車運送事業者等について、まず押さえておきたいポイントは、
保有車両台数150台以上が指定基準であること
被けん引車を含めた輸送能力の算定に注意すること
2026年度の中長期計画は10月末までであること
物流効率化に向けた措置・目標・実施時期などを具体的に整理すること
提出は原則オンラインで行うこと
です。
特に2026年度は制度開始初年度です。
指定を受けている事業者は、「期限までまだ時間がある」と考えるのではなく、計画内容と提出環境を早めに確認しておきましょう。
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代表行政書士の松井隆は、旅客運送の現場でバス運転士として20年以上勤務した経験があります。
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